轢き殺しますか?撃ち殺しますか? Atlanta Falcons
Atlanta Falcons は二つの攻撃シリーズ(攻撃の系統)を持ちます。
- Julio Jones へのパスを軸とする “Julio Series”
- スラントオフタックルとそこからのプレイアクションパスを軸とする“Off Tackle Series”
がそれです。
その時々にどちらのシリーズを選択するかは、
相手ディフェンスが J.Jones に何人のディフェンダーをマークにつけているか
をキーとして決めてるように見えます。
図式化するとこんな感じです。
下の図の場合、ディフェンスが J.Jones のマークに割くディフェンダーは二人(と推定される)。この場合は
Jones 以外のファルコンズ10人でディフェンダー9人を轢き殺します。
— ケチャ[kétʃə]若干舞い上がり中 (@toosourketchup) September 24, 2017
下の図の場合、Jones サイドにセットしている S は Jones に対してプレイしていないように見えます。つまり Jones に対してディフェンダーが一人なので
Jones で撃ち殺します。
— ケチャ[kétʃə]若干舞い上がり中 (@toosourketchup) September 24, 2017
このように、 Falcons のオフェンスの基本戦略は
NFL界無双の WR 、 Julio Jones のプレゼンスが作り出すミスマッチ
と
ディフェンダーに対する数的優位を生かしたグラウンドアタック(とそこから派生するパス)
のワン、ツーパンチにあると言えます。
そもそもなんで Jones をマンツーにするの?バカなの?死ぬの?
昨季の Falcons の躍進を説明するカギが、まさに上の問いだと思います。 彼らは10人で9人(あるいはそれ以下)のディフェンスを攻める際、決して数の優位だけに胡坐をかいている訳ではありません。この10人での攻撃の”生産性”を上げるために優れた取り組みを行っています。
- O-Line を主軸とするゾーンブロックスキーム
- TEやH-Back/FBなどバックスのブロックの巧みさ
- プレイアクション
きちゃない図ですみません…
左右比5.5:5.5 のフォーメーションからFBとH-backを上手く使ってカウンターを仕掛けています。
— ケチャ[kétʃə]若干舞い上がり中 (@toosourketchup) September 24, 2017
オフタックルを見せプレイに使ってプレイアクション。
— ケチャ[kétʃə]若干舞い上がり中 (@toosourketchup) September 24, 2017
彼らはこのコンビネーションを使って特に ILB に負荷をかけて彼らを機能不全に追い込むことを狙っているように思えます。そして、その最終的な目的は
S を “Off Tackle Series” に参加させ、Jones から引き離すことにあるようです。
第51回SUPER BOWL について思うこと
このFalcons オフェンスに対して、
我がOakland Raiders も
NFC Championship で Falcons と対戦した Packers も
轢き殺されそうになる恐怖心に打ち勝てずに Jones をマンツーにし、結局傷口を拡げてしまいました。
そこで Patriots です。彼らもまた轢き殺されそうになりながらも(実際轢き殺される一歩手前まで行ったにもかかわらず)、 Jones への手厚いカバーを試合を通じて切らせませんでした。あの試合では Jones はスーパーキャッチをふくむ印象深いプレイは披露したものの、試合を決定づけるような活躍はできずに終わりました。
あの試合は色々と見どころの多い試合でしたが、結局のところ Jones に”撃ち殺されずに”、 Falcons オフェンスを3TDに抑えたことが Patriots の勝因になったと思います。
このへんの、Patriots の優先順位のつけ方、やるべきこととやるべきでないことの分け方って流石やなぁ、と思います。
まとめ Falcons がこの先生きのこるには
最後に Falcons が昨季の雪辱を果たし、悲願の SUPER BOWL タイトルを手にするために必要な条件を二つ挙げたいと思います。
- 相手ディフェンスが Jones に何人のカバーをつけているかを適切に判断し、それに基づいてコールを行う
- Jones と別系統で相手 DB とのマンツーマンに打ち勝てる攻撃シリーズを構築する
- は先日 なるは@patsnation さんとお話しする機会があったときに気づかせてもらったんですが、やっぱり OC K.シャナハン の離脱の影響は気になるところですよね。この条件は Falcons が昨季並みの競争力を維持するための条件だと思います。
- については昨季からの競争力の上積みに必要な条件で、これが達成された暁にはそれこそ”止めるのに11人では足りない”事態になるでしょう。
最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。
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